辺境ラジオを聴いていて、西靖アナウンサーが最近ビビッときた本の中に、上の「ブタとおっちゃん」をあげていた。
これは、養豚場のおっちゃんと、そこの豚たちの写真がたくさん収められているものだ。
仮にペットと自分の写真集だったら惹きつけられなかっただろうけど、これが豚という、近いうちに出荷をして屠殺され、食べられてしまうという儚さがそこに見えない形で「見えて」しまうところに、西アナウンサーは惹きつけられたのだろう。
そのことに関連して、名越康文・内田樹両先生がこんな話をしていた。
名越「そういえばエースコックのブタとか、矢場とんのブタとかって、自分が食べられてる側なのに、なーんであんなに笑顔で愛らしいんですかねぇ?」
内田「うーん…それはね…きっと供養なんだよ。鎮魂ともいってもいいと思うけど。」
名越・西「なるほどー!!!!」
供養。鎮魂。
僕も聴いていてもんのすごく納得がいった。
養豚場の豚は、食べられるために生まれてきて、その抗えない運命に人間側が深い深い同情を感じ、今までも、そしてこれからも豚さんにお世話になることについて、豚という生き物それ自体を崇め奉ることで、豚からの報復や呪いを防ぐ目的があるのだろう。
ただ、崇め奉るといってもアニミズムとは違う。そうではなく、豚をアイドル化、つまり偶像とし、かつ親しみやすいキャラクターとすることで、今後も豚との友好的な関係を築いていきたい、という人間からの願いが込められての、あの可愛さなのではないだろうか。
ブタとおっちゃん、僕も買おうかなぁ…