最近ずっと、佐藤秀峰の漫画にハマっている。
彼の書く漫画は、10年以上前に「ブラックジャックによろしく」で知り、それからずっとそれを読み返したりして好きだった。
はっきり言うと、彼の書く漫画はとてつもなく重いのだけれど、その重さがまた好きだった。
海猿も、そして先ほど読み終わった特攻の島も、激烈に重い。
とくに特攻の島は太平洋戦争を題材にしているので、読んでいて辛くなるところもあった。
しかしそれでも、読んで考えさせられてしまうところがあるのが、佐藤秀峰の漫画だ。
彼の漫画は人の生死を扱うから重くなるんだろうけど、その前後の背景の描写が徹底しているからこそ読み応えがあり、またそうであるからこそ、漫画に重さがのしかかってくるのだろう
人によっては「重すぎてヤダ」というみたいだけれど、僕は彼の漫画は何か突き刺さるものがあるから、好きだ。
フランツ・カフカが友人に宛てた手紙に、こんな一節がある。
僕は、自分を噛んだり刺したりするようは本だけを、読むべきではないかと 思っている。
(中略)
本とは、僕らの内なる氷結した海を砕く斧、でなければならない。
僕はこの言葉が大好きで、これを信条としているところがある。
その点佐藤秀峰の漫画は完全に「斧」ともいえる。
ただ面白いだけじゃない。ただ感動させるだけじゃない。
そんな本に、いや本に限らず、映像、芸術作品、場所、ましてや人物に出逢うことこそが、生きていく上での醍醐味ともいえるかもしれない───────────