僕はあの日は、新宿のニョキニョキしたビルたちの森の中で、就活生として蠢いていた。
面接が終わり、ビルの下の本屋に入って、ブルータスを立ち読みしていた。
そしたら、地震がきた。
「あぁ、そういえば2日前も地震あったな。あん時は宮城で震度5弱で大っきかったし、東京も震度3くらいあったしな。」
そんなことをふと思って、地震の通過を待った。
いや、長い。
「む…これはまずい! 外でよう!」
地震はさらに長く、大きくなっていった。
ビル達が揺れる。
ゴォーンと、まるで地獄からの悲鳴のような、未だ嘗て聞いたことのない音。ビル達の、それは或いは泣きわめく声として聞こえてくる。
人々はビルから逃げ、悲鳴を上げていた。
「これはカタストロフィー(破滅的災害)か…」
僕は焦りながらも、ビル達を、人々を見渡しながら、ビルから離れた。
そうだ、ちょうど新宿ビル群の『LOVE』の近くにいた時だった。
あれから7年か。