シンガーソングライターの辛島さんが、父親について書いた日経のコラムだ。
彼女の父は無口でシャイな人だったようだが、とても筆まめで、彼女が一人暮らしをしていた時はよく手紙を書いて寄越していたとのこと。
そんな彼女の父が認知症になった。
特に、以下の一文が気にかかった。
父は晩年、認知症を患った。
しっかり者だったのに、徐々に身の回りのこともできなくなってしまった。
人間の尊厳を奪うこの病を、私は憎んだ。
『人間の尊厳』。
とても重く、いい言葉だ。
これが欠けてしまうのが、認知症。
しかし、彼女の父はなぜ認知症になってしまったのだろうか。
それについては詳しい記載はない。
予想だけれど、おそらく彼女の父はその性格から、あまり人と喋らない性格で、ひょっとすると、社交性の断絶があったのかもしれない。
人と話すことは、一見なんでもないことだが、頭を使うときは使う。
特に『聞く』方が大事で、聞いたことを受けて会話を更に発展させることは、頭を使うことかなぁ、と思う。
これが欠けて、独善的、独裁的になると、認知症に近くなってしまうのかもしれない。
そういえば、うちの父方の祖母もそうだ。
私の祖母も認知症になり、今は老人ホームに入っている。
祖母は話し好きだ。
しかし、私の記憶によると、話すことが大変好きだが、聞くことが好き、というイメージはない。
そんな風に祖母を思い返しながらこの記事を読んだ。
認知症…。
僕の父や母もなるのだろうか?
ましてや私もなってしまう日が来てしまうのだろうか?
それは、嫌だ。
人の話をよく聞いた上で、会話を楽しむことを、今後も心掛けたい。