








ちなみに、写真には取ることができなかったが、ここ建長寺には釈迦苦行像があって、度肝を抜かれた。
釈迦苦行像というのは、釈迦が断食修行して、まさに文字通り骨と皮の状態になっている像である。
本では見たことがあったが、実物を見たのは「そう、生まれて初めて」だった。
度肝を抜かれ、私はしばらく放心状態になりながら釈迦苦行像に見入った。
「これは建長寺に来た甲斐があった。」
心からそう思った。
また、あの釈迦苦行像、手乗りくらいのレプリカがあれば欲しい、と思った。
それが生活の中にあれば、ふとした時にいつでも「生命とは何か? 人間とは何か?」という考察を絶えず行うことができ、また身が引き締まるだろう。
それは、昔或るイギリス人が自室のテーブルの前の壁に“memento mori”(ラテン語。「死を思え」の意。)と書かれた紙を貼っていたように。