中川家が好きだ。
その中川家のコントの中でも、「携帯電話屋」というコントがが大好きで、時々気が向いたときにみている。
このコントは兄がケータイショップ店員で、弟が客という設定。
2分すぎた辺りで、客が店員さんの不手際についてキレるシーンがある。これが大変印象的で、特にそこで発せられた台詞が面白い。
「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」
これである。
この台詞を聞いたとき、私は大爆笑をしたのだが、同時になんだか妙に「ぴん」とくるものがあった。
この台詞には、一体どういう思いがこもっているのだろうか。
「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」という台詞は、ここで中川家が初めてクリエイトした台詞ではない。昔からある罵倒台詞(?)だ。
言い換えると、対面商売において、迷惑な客に引っかかった場合にしばしば(というほどでもないかもしれないが)言われてしまう台詞というか、ひとつの決まり文句的なものである。
「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」というのは、「僕らの業界ではそんなことはありえない」という事実提示の意味も当然あるが、それとは別の意味が、おそらく遥かに強い。
つまり、「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」には、
「おたくの業界(会社)の振る舞いは、一般常識的に考えておかしいよ。はっきりいって信用できないよ、申し訳ないけれど。」
という意味合いがいちばん強いのではないかと思われる。
もう少し掘り下げると、
「おたくの業界(会社)と取引したくない気持ちが今強いよ」
というイエロー・カードというか、最後通告にも似た意味合いが大いにあると思われる。
ただ、別な視点から言うと、これはお客からの叱咤激励にもとれる。
つまり、
「おたくの業界(会社)のその振る舞いはやばい(ダメ)だから、社員教育しっかりし直した方がいいよ。」
という意味合いだ。
言い換えると、
「おたくの患部はココだよ」
と、「お金を払ってくれる」お客様*1から教えて頂けているとも解釈できる。
まとめると、「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」
という台詞には、
「おたくは正直信用できないな、という思いが強いよ」
という、クールでリアルなビジネスマインド要素がある一方で、
「おたくはここがダメだからね、しっかり直せよ」
というウォーム・ハートな、親心的な、教育的要素があると考えた。