大好きな彼の、ありえない髪型 - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
私は「村上さんのところ」が大好きで、よく見ている。
この存在ははてなのトップページで知った。
やはり物書きのプロ中のプロである故か、氏の回答は誠に「読ませる」ものであるものだな…と、ため息すらでる。
その中で今回特に感銘を受けたのは、上に貼付けたリンクでされた質問の回答である。
この回答に、私は『ノルウェイの森』の登場人物である小林緑を想起せざるを得なかった。
村上氏は以下のような回答をしているのだ。
まず恋人になっちゃったらどうでしょう。それから髪型を変えてくれるように説得すればいいと思います。「髪型を変えてくれたら、すごくいいことをしてあげるから」とかなんとか言って。
私はこの回答の中の、
「髪型を変えてくれたら、すごくいいことをしてあげるから」
という村上氏の想像(妄想?)台詞を読んだ瞬間、
「あ、これはノルウェイの森の小林緑がワタナベトオルに対して、すっごく言いそうな台詞だな、これは」
と思わずにいられなかった。
小林緑。
ご存じない方も多いかもしれないが、このキャラクターを一言で言うと、
「男勝りでありながらも家庭的であり、そして何よりもエロティシズムにあふれたガール」
である。
村上氏の回答におけるその台詞を読んだ刹那、そんな小林緑を想起せざるを得なかったのだ。
おそらく、私以外にも、「あ、この台詞、小林緑っぽい!」と思った人はきっといるのではないだろうか。
そしてその「連想」は、ほぼ間違いなく村上氏が狙ったことのようにも思う。
そうでなくとも、氏の中では小林緑的ガールという存在は、『ノルウェイの森』を書いた当時も今も生き続けているように思われた、そんな回答であった。
そして、大作家というのは、読者に「それとは違う」なんらかの連想をも提供するエンターテナーではないだろうか、と、また思われた。