最近、いがらしみきお氏の
「アイ」
というマンガを読んだ。
このマンガ、一言で言うと
「怖い」。
ハッキリ言って、かなり「怖い」。
この物語は、二人の主人公が神様を探しに東北の地を冒険するという物語。
しかし、一方の主人公がどうやら超能力者で、
会う人会う人にその能力を発揮し、人々から生き神様のごとく祭られたり、
その主人公を利用して「信者」からお布施をとる人が現れたり、
その主人公に「深く」関わった人(おそらく、死にたい願望がある人)は、主人公に殺されてしまったりする物語。(←これは正確には自殺幇助、或いは嘱託殺人に該当する)
この一連の出来事、怖過ぎるのだ、私からしたら。
まず、人が死ぬこと、それが「怖い』。
次に、超能力を発揮する主人公にすり寄ってお布施を信者からとる登場人物(おばさん)の、
そのしたたかさが、「怖い」。
そして、主人公の言葉が哲学的あるいは宗教的で、それが読み手である僕たちがそこから学び、影響を十分受ける可能性があるという事態が、「怖い」のだ。
数日前に「忍ペンまん丸」についてブログったが、この漫画は好きだ、といえる。
愉快で、平和で、キャラクターが個性的で。
しかし、この「アイ」というマンガは、どうも「怖い」。
お化けが出てくるわけでもなく、凄惨な場面が多い、という訳でもない。
つまり現象的恐怖とはこれまるで異質なものである。
飽くまで精神的で、それが現実世界で起こりうるのでは・・・? という想像可能性を秘めているところ、つまり「見えないもの」「人智では計り知れないこと」が、この漫画では主題となっていて、それが私にはあまりにも「恐」く感じる。
この漫画を僕は家のベッドの中でごろごろしながら読んでいたのだが、その怖さにちょっとドン引きしてしまい、眠気が吹き飛んでしまった。
それにしても「怖さ」とは何か。
この「アイ」というマンガを読んで、「怖い」という感情について考えたくなった。
なんとも不思議なマンガである・・・。